〜考えているのは…〜

文:かろりーね様    絵:カオル


ここ数日、あいつが何を考えているのか、わからない。
旦那様のもとへ求婚者として伯爵が訪れてから、
あいつはひとり、部屋に篭ることが多くなってしまった。
だがそれも、無理もないことだ。
今まで、この伯爵家を継ぐ者として育てられ、
そのように成長することで父上に認められようとしていたおまえ。
そこへ、今更のように起こった結婚話。
それは、今までのおまえの存在有無すら、
否定してしまうことになるのだ。
だが…。

男として、人として、愛する人の幸せを望むのが
本当の愛なのだとしたら…。
俺は、旦那様のお考えがわからなくもない…。
父親として、ただひたすら、娘の幸せを思って
なしたことなのだとしたら…。
家柄といい、これほどお前につりあう相手はいないだろう…。
だが…。

空
オスカル あの日、お前はドレスを着た。
そして多分、自分で自分の悲しい恋に幕を引いたのだ…。
そうしなければならなかったのは、何故か…。
それを、旦那様はおわかりになってはいない。
ああ…だめだ…。
俺もまた、迷宮に入り込んでしまっている。

お前が旦那様の仰る通りに嫁いでしまうとは思えない。
だが、お前の中に“倖せになりたい”という気持ちがあるのだとしたら…。
それを求める気持ちは、誰にも止められない。

お前をこの腕の中に抱き、黄金の髪にくちづける…。
そんな望みはついえてしまった。
それでも俺は、お前の傍から離れられないでいる…。
これ以上考えても、答えは出ないだろう。
たぶんきっと、永遠に…。

だが、オスカル。
たとえこの先、二人の行く道が離れ離れになってしまおうとも、
俺はお前を愛しつづける。
それがお前のあずかり知らぬことであろうとも…。

遠くで俺を呼ぶお前の声が聞こえる。
ちょっと待ってくれ。
お前の前では、いつも笑顔でいたいから…。


〜FIN〜





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アンドレ






〜あとがき〜

ベルばらいろいろ絵2にUPしていました絵(一番下のアンドレ)をご覧になったかろりーね様がこんな素敵な
ストーリーをつけてくださいました。
「彼の瞳に魅せられてしまい、“何か書きたい!”という衝動にかられておりました〜。」
「あのアンドレは、とても“気になる存在”だったのです。」
というようなありがたい感想まで頂戴いたしまして、文章を書けない私としましては感激の一言であります!
再UPに際しまして、ちょっと画像をプラスしてUPさせていただくことにしました。
かろりーね様、本当にありがとうございました!!