「何だ、それは?」 「古い本、ガリバー旅行記」 「おれがだんなさまから頂いたのに、気がついたらおまえに取り込まれてた」 「人聞きがわるいな。あの頃、わたしがいなくては読めなかったくせに」 「読めるようになった頃にはおれの手元になかったぞ」 「まぁ、気にするな」 「…スウィフトの精神はおまえに影響を与えたか?」 「ふふ…さあ…どうかな…でもおまえとならどこへでも行ける気持ちは変わっていないぞ。 いや…今の方が強いな、きっと」 「じゃあ、行こう、一緒に…な」 「あぁ、一緒に」